Dusty In Memphis ★★★★

Dusty in Memphis

Dusty Springfield / Dusty In Memphis

::★★★★::1969::Atlanta::pop::rock::soul::
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ダスティ・スプリングフィールドといえば、「オースティン・パワーズ」の原型ともいえる異色007映画の「カジノ・ロワイヤル」で音楽担当したバカラックの「ルック・オブ・ラブ」で有名という程度の知識しかかつてなかった(関係ないけど、「オースティン・パワーズ」はバカラック本人が出てくるけど、やっぱ「カジノ・ロワイヤル」の流れなんだろうな。相変わらず映画俳優のようなルックス‥天は二物を与えるという生きた例外)。二度目にスプリングフィールドを知ったのはこれまた映画がらみでありました。それは「パルプ・フィクション」の挿入歌(「Son Of A Preacher's Man」)でした。これを映画で聴いた時は黒人シンガーの曲だと思い込んでいたのですが、のちに白人のダスティ・スプリングフィールドだと知って驚きました。しかも、「ルック・オブ・ラブ」が、バカラック流ボサノバ風の(あるいはディオンヌ・ワーウィック風の)、それほど黒っぽくない曲だっただけに余計意外だったのです。

ダスティ・スプリングフィールドは汗を飛ばして歌うタイプのシンガーではありません。逆に、ささやくようにハスキーボイスをきかせるタイプです。だから、いわゆるブルーアイド・ソウルといっても黒人の肉体性を指向するタイプとはちょっと違います。しかしそのひんやりとしたハスキーボイスに絶妙な黒人音楽のソウルが隠れているのがダスティ・スプリングフィールドの魔力ですね。どうやったらこんな独特なスタイルを確立できるのか。才能と言うのはおそろしいものです。白人的洗練のシンボル的な彼女をメンフィスに連れていくというアイデアを実行したプロデューサーのアリフ・マーディンもすごいなぁ。 (12/27/01)

[追記]このアルバムがiTMS JPにあってiTMS USにないのは今いち意味不明…。(6/19/06)