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Shuggie Otis / Inspiration Information

::★★★::1974/2001::Lauka Bop::soul::pop::rock::
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シャギー・オーティスといえば、フランク・ザッパ・ファンにとってはザッパの60年代の名曲インスト「ピーチズ・エン・レガリア」でメロウかつグルーヴィなベースを聞かせてくれたプレイヤーであるし、ポップスのヒットチャートの歴史的にみれば、ブラザーズ・ジョンスンの「ストロベリー・レター23」の作曲者であるし、ブルースロック的にみれば、白人ブルースマンの草分け、ジョニー・オーティスの息子(ちなみにジョニーの奥さんは黒人なのでシャギーはハーフ)ということになるのでしょうが、果たして本人がどういう録音をしていたのかということについては一般にはほとんどまったく知られないままでありました。かくいうぼくも全然知りませんでした。

2001年になって、デイヴィッド・バーンのレーベルからシャギー・オーティスの埋もれていた1974年のアルバム(4作目)が初期の代表曲を加えて再発されました。これを聴くと、実にケッタイな音楽であります。日本ではこのアルバムは間違いなく「フリーソウル」という(人工的な)流れに位置する物としてとらえられるでしょう。ジャジーでソウルフル、汗の匂いはなく、どことなくラウンジーでさえある、浮遊するような音空間。シャギーの独演でつくりあげられたこのアルバムは、74年という時代‥いや、どの時代に置いてもどこか違和感を感じさせる不思議な作品です。

このアルバムの音は聴く人によってさまざまな印象を与えるでしょう‥フリーソウル的だと感じるひともいるだろうし、ステレオラブあたりに通じる物を感じる人もいるでしょう。でもまあ、普通に聴けば、これは「自宅録音的スライ・ストーン」と言うのが一番ぴったりくる音かも。スライにあるような強靭でしなやかな肉体性というのはここにはなくて、どこかふにゃふにゃとオタク的なんだな。シャギーのボーカルも、甘い声で、声のよさにはっとする瞬間が多々ある一方で、実に素人っぽいと感じさせる。

ローファイでサイケデリックでメロウでソウルフルでローファイな異色作品。 (12/27/01)