Mais ★★★★

Mais

Marisa Monte / Mais

::★★★★::1991::EMI-Odeon Brazil/World Pacific::brazil::pop::rock::
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マリーザ・モンチの、試作品的ファースト(といいつつ未聴)に次ぐ、世界デビュー作であり、実質的一作目といえる作品。ぼくがこれを買ったのは名曲「Diariamente」のためでした。ギターと竪琴の幻想的反復の上にマリーザが淡々と普通名詞や固有名詞を並べて語るという非常にシンプルな曲なのですが、深みと透明感を同時にもった稀有な名曲なのです。ぼくはこの曲のビデオを音楽番組で見て衝撃を受け、予備知識もなくこのアルバムを買いました。で、この曲の路線を期待していた当時のぼくには、このアルバムの英米ロック・ポップスっぽい内容は期待はずれでした。実際、マリーザの作品の中でも一番英米ロック/ポップ色が強い。でも今聴きなおすと良いと思ったりするから不思議。のちの半ライブ盤「ア・グレート・ノイズ」でこのアルバムの曲が多く再演され、曲の良さを再確認したせいかもしれない。たとえば、「ア・グレート・ノイズ」でも再演されたこのアルバム3曲目の「Ainda Lembro」とか、ほんとめちゃポップな曲(ソウルっぽい男性歌手とのデュエット)なんだけど、ポップだとか、ブラジルっぽくないとか、そういうことを越えて良い曲だなぁと、今なら思います。坂本龍一のピアノとストリングスをバックに歌う「Rosa」の美しさにも溜息がでてしまう。このあと6曲目から8曲目はブラジル色が濃く、このあたりのブラジルの匂いも当時は聴き逃していましたね。 (10/17/00)