World Clique ★★★★

World Clique

Deee-Lite / World Clique

★★★★::1990::Elektra::club/house/techno/lounge/breaks
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レディ・ミス・キアー(vo)、ロシア系白人のスーパーDJドゥミトゥリ(dj)、日本育ちの韓国人、ジャングルDJトーワ・トーワ(=テイ・トウワ)(dj)の3人でNYで結成されたディー・ライトは、当時のクロスオーバー的クラブ・シーンを体現したかのようなユニットでありました。80年代終わりといえば、ハウスとヒップホップがオーバーグラウンドに浮上し、クラブ文化以外の場所…つまりロックやポップスにも非常に大きな影響を与えた時代で、ハウスとヒップホップ、ハウスとテクノ、ヒップホップとロック、ロックとハウスなど、さまざまな異種格闘技的動きがシーンを熱くしていました。その「なんでもアリ」的ないかがわしさを一身に体現したのがディー・ライトでありました。サイケ色を極度に押し出したビジュアル戦略が少々イロモノっぽいイメージを植えつけているところがあるし、また生っ粋の「ストリート」系でないというところがフェイクっぽさに拍車をかけていますが(というか、そこがまさに狙いだったのだろうが)、しかし彼らのクラブ音楽史上に残した足跡は決して小さなものではありません。ハウス・ミュージックとしてみれば彼らの音は、一般的レベルからみれば新しかったけれども、アンダグラウンドを含めた最新サウンドからみると後追い的な部分もあったし、「家で聴けるクラブ音楽」というコンセプトが逆にクラブ音楽としての弱さにつながっているのですが、彼らが当時のシーンの最良の部分を一般聴衆に提供していたのは確かで、一般にはまだまだ謎だった「ハウス」という音楽の魅力を広く我々一般リスナーに教えてくれた功績は大きいです。

今聴くとさすがに時代を感じさせるこのデビュー作でありますが、リアルタイムではとにかく最高にいかした音でした。テイ・トウワはジャングル・ブラザーズやア・トライブ・コールド・クエスト(ATCQ)といったヒップホップの「ニュースクール」の連中とも親交があり、名曲にして大ヒット曲「グルーブ・イズ・イン・ザ・ハート」では、デビュー前(後注:ウソでした。デビューしてました。訂正します。Thanks to とよちゅん)のATCQのQティップがフィーチャーされるなど、先進性ももちろんありました。ハウスだけでなく、ブレイクビーツの魅力も教えてくれた作品で、今考えるとファット・ボーイ・スリムなどのいわゆる「ビッグ・ビート」の原型はここにあると、今さら気付かされたりもします。歴史的作品。 (09/27/00, 16:55:04 (JST))