Invoke ★★★★

Invoke

Arto Lindsay / Invoke

::★★★★::2002::Righteous Babe::pop::rock::brazil::
iTS US / iTS JP(→iTSについて

アート・リンゼイ5枚目のソロ・アルバム。最初聴いたときは少々失望しまして、永らくCD棚にしまわれたままでありました。というのも、新要素がなく、これまでの焼き直しではないかと思ったから。でも最近またひっぱりだして聴き直してるんですよ。で、けっこう良い。と思うようになった。確かにあまり野心作とは言えない。歌のメロディもつぶやくようなリンゼイのボーカルもブラジリアン・リズムもちょっとマンネリといえばマンネリ。製作もいつものリンゼイ/アンドレ・レヴィン/メルヴィン・ギブズのトリオ。でも、マンネリさもこれはこれでリンゼイの等身大の姿じゃないかと。特にヒットすることもなく、細々とマンハッタンの薄暗い路地で音楽をマイペエスで紡ぎだすアート・リンゼイ。そのマイペエスさを誰が責めることができようか。別に大金を儲けてるわけでもないんだから、ね。

で、そう思うとこのアルバムに漂う微妙な倦怠感とメロウさと煮え切らなさも好ましいものに感じられてくるのであります。で、曲も良くできている。個人的にベストはtr3「Ultra Previleged」。まあ、ほんと、いつものリンゼイ節なんだけど(しかも「モンド・シヴィリザード」のころの)、どこかノスタルジックな雰囲気もあり、和みます。他、tr4「Over/Run」、など、いつになくフツーにポップでなかなか。tr6「You Decide」はなんかギターっぽいアルペジオが今時のR&Bっぽいんだけど‥それもまたよし。前衛系では詩の朗読をベースにしたtr7「In The City That Reads」が素晴しい。実にニューヨークらしい曲です。ブラジル系では、ラストのtr12「Beija-Me」の軽やかなポップさ(マリーザ・モンチ的にポップ)がちょっと新鮮かも。 (9/18/04)